工場の食堂 Factory Cafeteria Design Point24   2005/2

工場の食堂(レストラン)

レストランの路面店の設計を担当したのは20代でした。青山通りだったのですが、残念ながら10年もちませんでした。インテリア専門の先輩について、建築の作図をしたのでした。そこで学んだのは、

メニューの「どんなものをいくらで出すか。」から、席数・厨房機器・建築の外装にインテリア・FFE(家具、什器、備品)のすべてが決まります。その後、ホテル、商業施設の大きな建築を担当するようになるのですが、その中に入るレストランのインテリアデザインは最初から専門の方にお任せでした。
お客様と話ができるように、若い時に丁稚に出されたのでした。
光をあてるための照明はインテリアデザイナーの真骨頂ですが、大きな窓、トップライトと建築外装と絡む自然光は建築設計の仕事となります。

「商業施設の高橋」が、名古屋支店では「工場」をやれと言われ、面食らいます。工場の設計も生産品のメニューで決まり、その設計手法は千差万別なのでした。しかし、そこはコックさんである工場の生産システムの方がおられるので、建築の知識を持って応対をすればよく、問題は起きません。「生産=モノ」系は、構造設計者がほとんど背負ってくれます。
私への課題は「ヒト」系でした。バブルがはじけ、工場敷地内の工場は海外に出ていき、工場内の建設は、オフィス棟、開発棟、実験棟と、メーカーの生産システムの方も未経験な空間づくりでした。「工場の事務所」の生産性を上げるにはどうすればよいか、とのご下問は「貸しオフィス」ではありません。私の回答は別掲「オフィス」にあります。もう一つは、従業員の福利厚生のレベルアップです。駐車場、ロッカー室、トイレはマストであり、宴会も開けられる福利厚生棟もありましたが、数が多いのは「工場の食堂」でした。

東京での自社ビルでは、「カフェテリア」方式の社員食堂が当たり前になり、三井物産のエームサービス、伊藤忠のコンパスと、従来の魚国だけでなく、カフェテリアの運営委託会社が新たに立ち上がり、名古屋の工場にも進出してきました。弁当のみ、定食のみの工場の食堂から、美味しく、健康的な「カフェテリア」「フードコート」に変身です。

若者教育用に24のポイントを挙げて、「工場の食堂」という冊子を作りました。第一章は食堂運営の肝は、運営委託会社でなく、工場主であり、工場主と共に運営宅会社を選ぼうです。第ニ章は厨房です。厨房器具はメニューからおのずと決まりますが、配膳カウンターが重要です。第三章はFFEです。Furniture(移動できる家具)Fixture(備え付け家具、取り外し可能な装備)Equipment(装備)はインテリアに含まれるものであり、工場の場合はインテリアデザイナーを頼めないのが普通ですので、建築設計者はこれらから逃げてはいけません。
事例の写真を多く入れていますが、コストをかけられない「工場の食堂」ですので、部下の若者がインテリアを自らやりたくなるような冊子が必要なのでした。

工場の食堂-設計ポイント24

タイトルとURLをコピーしました