商業施設

用途的には「物販」がメインです。百貨店に代わりダイエー、イトーヨーカドーなどGMSが大きな店舗を地方にどんどん作った後に、モール、アウトレットと業態を変えていく、その１０年間に私はいました。

バブルの米子天満屋１９８９年から始まる私の商業施設は、名古屋に来ても、トヨタ自動車本社ビルのようなオフィス、シャープのような半導体工場だけでなく、イオンモール岡崎、御岳スキー場と商業施設は続きました。
商業施設には「鮮度」が重要ですので、アメリカでの先行業態を見るために、ショッピングセンター協会は毎年ツアーをしています。私も二度、会社のお金でアメリカを見て回りました。自費の海外旅行でも、ホテルに泊まり、買い物をしますので、おのずとその裏側に目が行きます。
１９９９年のラスベガス視察を中部経済新聞で披露しています。

1999_ラスベガス

新聞の企画は、アミューメントそのものでした。司会の中島一氏は名工大建築学科の先輩であり、彦根市長を１２年行い、伊勢の「おかげ横丁」の彦根版「夢京橋キャッスルロード」を作りましたので、人集めに興味があったのでしょうが、もう、建築の世界ではありませんでした。

1999_アミューズメントの中部経済新聞

立体駐車場がそれ単独である事はないので、商業施設に中に含まれて見えなくなりますが、アメリカの商業施設視察では、立体駐車場の知見が大きかったです。

写真で見る立体駐車場

もう、GMSは消えました。百貨店もインバウンド頼りでは先がありません。イトーヨーカドーは、セブンイレブンの傘下になり、ジャスコは子会社のイオンモールに抱え込まれました。食料品、日常品のスーパーと、衣料品と生活雑貨をメインにし映画館も加えた巨大な商業空間だけが生き残っています。しかし、私が１９９０年代にアメリカ直輸入で設計したトップライトは消え、吹き抜けはおざなりにです。そこには、ショッピングセンター協会を作り、共にアメリカ視察をしたダイエー中内さん、ジャスコ岡田さんのギラギラ感はもうありません。日本国自体にギラギラ感がない故でしょう。

米子ショッピングセンター　１９９１年竣工

巨大な空間を作って、「あとの店づくりは知らない。乃村工芸、船場の世界である。」とするのが建築設計の常でしたが、私は「内装管理チーム」を立ち上げて、ここのショップのインテリア、什器設計にも首を突っ込みました。モールはショップの連続ですので、モールを壊すような店構えにならないようにするためです。

米子のＭＤ

ここでは、プールとジムも作りました。藤田観光ホテル以来でした。カラースキームボードも入っていますが、これはインテリア設計部によるものです。

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チャオ御岳スキー場　　１９９８年竣工

JR東海の事業であり、土木中心の５０億円でしたので、入札の本命でなかったのですが、予想に反して取れてしまい、大騒ぎでした。
スキー場の設計をして、国有林の木を伐りって道路をつくることから、ゲレンデを作るのがメインなのですが、建築でもゴンドラをとおし、寒冷地仕様で建屋を作るなど、初めての事ばかりでした。
しかも建築フルターンキーであり、スリッパ、トイレットペーパ―まで設計範囲に入っていました。三越百貨店に什器、備品をまかせるのは、ホテルで行った経験があり、上手く回りました。

イオンモール岡崎　西武百貨店　２０００年竣工

坪２４万円で９０億円ですので、損をしないようにプロジェクトを進めるのが私の仕事でした。
地主であり、建物主ともなる日清紡は伊藤建築事務所に設計を依頼するのが財産保全に良いのですが、所長の小田さんはジャスコ岡崎を設計し、その時施工をしたシミズの設計施工を企てました。彼は私の大学同級生であり、私が若い時に渋谷の西武百貨店、公園通りのパルコの設計係員をしているのを知っていました。
イオンにとっては、西武百貨店がモールの核店舗になるのあは大変ありがたいことであり、安さ一番がイオンの常でしたが、今回は地主とテナントからシミズに依頼したかったのでしょう。

森田ビル　１９８３年竣工

１９８２年大阪支店に行き、すぐにホテルの設計係員をしたのですが、初めて自分一人で設計したのは、この商業施設でした。私の商業施設の原点です。一階が銀行で、二階が４店舗。三、四階がオーナーとその家族の住戸でした。
この自筆の絵でお客様を説得したのですから、全くよくやったものだと今は思います。